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滋賀とDXについてのオリジナルレポート

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ストーリー⑧

DXで大切なこと その③「共助」

滋賀県においてはなじみが深い「共助」
自助、共助、公助という言葉ですが、先の菅政権では批判の的になった言葉でした。
コロナで疲弊した社会を支えるため、大変重要なキーワードだと思うのですが、公助をやらずなんで自助なのか!弱者をさらに追い込むのか!と野党からの批判が印象として残っています。
それがよくなかったのか、岸田政権ではほぼ語られなくなっています。

その「自助、共助、公助」ですが、滋賀では菅政権以前から県民になじみが深い言葉だったと思います。そのうち特に「共助」について先の知事は「お互いを支え合う自治の精神」として発信されていました。

菅政権では取り上げられたタイミングが悪かったのか、国民に犠牲を強いるような言葉として捉えられてしまいましたが、DX推進においては、一番重要なキーワードと感じています。「シビックテック」も「データ連係基盤」もすべて共助のもとでこそ実現できるものであると思います。
上の挿絵のように、それぞれが持てるものを少しずつ出し合い組み合わせ、そして一つの形を作っていく。行政が肥大化するほんの100年くらい前までは普通に行われていたことだと思います。
DXは「共助」の部分を厚くしていくことでこそ推進できる

すでに行政は共助を厚くしようと補助金などで支援していますが、結局、金の切れ目が縁の切れ目となって持続可能な仕組みになかなか育っていないようです。従来からの部分最適なアプローチではそうならざるを得ず、DXによる全体最適を目指す以外に持続可能な仕組みは実現しないように思います。

自助に該当するのが自社システムなどの個別システムに当たると思います。行政で考えてみると、基礎自治体の個別システムがここに該当し、国が運営する基幹システムが公助に当たると思います。共助はというと、ベースレジストリやデータ連係基盤、いわゆる都市OSなどが該当すると思います。いかに公助を厚くしていくかが、DX推進の重要テーマになるかと思います。
紹介した堺市のサービスも恐らく行政が支えているので機能していますが、市内企業の参加が進まなければ税金投入もできなくなり、結局は閉鎖されてしまうと思います。
行政が税金で支えるのではなく、共助を厚くして(=DX)で作り上げる以外に持続可能な仕組みは実現しないものと思います。
DX成功に向けた共助
DX成功に向けた第一歩は、コストシェアだと思います。
民間は営利が目的なので、例えばデータを共有するとしてもなにか営利につながるものが見えないと難しい、社会貢献につながるからと自社の競争力のみなもとであるデータは出せないと言われます。実際そうだと思いますが、それでは先に進めません。
公民問わず共通インフラの構築を実現するため、様々なカタチでのコストシェアをいとわない集団を作り上げることが共助になり、そして三方よしな社会をつくることにつながると思います。
共助につながる「利他」という言葉もありますが、持続可能なデータ連係基盤を構築するため、他人を利する気持ちで貢献することが、結局は自分の利益になり、そしてお互いのビジネス発展につながるのだと思います。
いきなり大きなことをしようとするのではなく、まずはできるところから少しずつということではないでしょうか?
共助の事例
一つ共助の例を紹介します。
紹介に許諾をいただいたわけではないので、共助の文脈で紹介することに違和感があるかも知れませんが、これこそ民間企業を含めた共助の例として最適と感じています。

■OpenStreetMap
openstreetmap.org

Open Street Map は、2005年から提供されたGoogle Maps よりも歴史の長いクラウドソーシング型世界地図作成プロジェクトで、多くのサービスが基盤地図に採用している地図作成プロジェクトです。

マップコンシェルジュ株式会社代表取締役社長 古橋大地氏の「note」によると
https://note.com/mapconcierge/n/n66ae0210a652
Show the Niantic flag!:mapconcierge氏

OSMは市民参加型のクラウドソーシングですが、一般市民(の立場)だけが地図更新に貢献するのではないようで、1日あたり6,000人程度の地図編集者のうち、少なくとも1/3である2,000人以上は、所属する企業から給料を得ている企業マッパー(Corporate Editors)による貢献だと説明されています。
ベースマップ、地図データベースとして誰でも無料で利用できる地図ですが、IT大手企業も地図編集で大きな貢献をしているからこそ鮮度が保たれているそうです。

無料で利用できてしまうが、そのサービスの維持向上のために貢献する姿勢が「共助」の事例として最適と思います。