ストーリー③
滋賀におけるDXへのこころみ
- 単なる業務効率化にとどまらず、新たな価値を想像していく為に
- DX推進のなかで、滋賀県ではデジタル技術を県民の暮らしをより豊かにする新たな価値創造につなげていく為にどのような取り組みが進んでいるのか、近年のいくつか具体的な事例を紹介します。
- 滋賀県庁の取り組み
副知事を本部長とした「滋賀県デジタル社会推進本部」が2021年2月に立ち上がり、「滋賀県におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関する方針」が示され、3つの柱のもとに整備が進められつつあるようです。
・暮らしのDX
【生活】全ての県民がデジタル技術を活用して、健康で快適な暮らしと、環境に配慮した豊かな生活を実感できる「滋賀」を目指す
【安全・安心】防災、防犯および交通安全の分野でデジタル技術を活用し、安全・安心な「滋賀」を目指す
【教育】これまでの集団での学びの良さを活かしつつ、デジタル技術を活用した教育を推進し、Society5.0時代に対応した資質や能力を備えた人材の育成を目指す
・行政のDX
【デジタルファースト】県民本位のデジタルファーストを実現し、時間や場所を問わず、ワンストップで行政サービスを享受できることを目指す
【デジタルシフト】行政そのものがデジタルシフトにより変革し、効率化により、限られた人材を有効に活用し、質の高い県民サービスの提供を目指す
【EBPM】データの利活用を積極的に進めることで、EBPMを推進し、暗黙知の形式知か、過去解析から将来予測への移行、部分最適から全体最適への転換を目指す
【スマート自治体】「スマート自治体滋賀モデル」を推進し、市町とともにデジタル化を推進し、県全体のデジタル・ガバメントの実現を目指す
・産業のDX
【産業・企業】県内産業における最先端のデジタル技術の活用やデータ利活用を前提としたデジタルシフトおよびDX人材育成を積極的に支援する
【農林畜産水産業】スマート農業などデジタル技術を活用して、担い手が不足する分野における生産性や品質の工場、産地強化を推進し、持続的で魅力ある農林畜産水産業の実現を目指す滋賀県
そのなかで設置された「滋賀県DX官民協創サロン」は民間企業などと連携したDX推進の体制として、地元の金融機関がその運営に深く関与していることが特徴的と思います。
滋賀県が考えるDXとは知事コメントなどから
1.県民の暮らしを健康でより豊かにする、地域社会の持続的発展につながる新たな価値創造
2.誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル社会の実現
にまとめられると思います。
それを踏まえた「滋賀県DX推進戦略(案)」がまとめられ、2021年10月29日(金)から同年11月30日(火)までパブリックコメントを実施していました。
そして、2022年4月には「滋賀県DX推進戦略」として公表されています。こちらについては本サイト内の別の記事で紹介しています。
- 県庁、市役所、町役場の連携
- 2019年7月には滋賀県が中心となり、県内の3市が庁内手続きなどのデジタル化を推進する行政内部の枠組みとして「スマート自治体滋賀モデル研究会」を発足しています。
滋賀県では、行政サービスの改革による住民の利便性向上と自治体組織の働き方改革に資する行政事務の効率化を推進するため、2019年度に県内の3市と共同で「スマート自治体滋賀モデル研究会」を設置し、ICTを活用した施策についての情報収集、意見交換、調査、取り組みの実証等に取り組んでいます。こちら「滋賀県」情報化本部:ぎょうせいオンライン
滋賀県と大津市、近江八幡市、草津市は2020年度からICT(情報通信技術)を活用した電子自治体の構築に乗り出す。住民手続きが簡単にできる共通ポータルサイトを立ち上げたり、県市の職員の給与や人事といった内部管理システムを統一したりする。三日月大造知事は「県民の利便性向上を実現させる『滋賀モデル』をつくり上げたい」と意気込んでいる。滋賀県と3市、スマート自治体へ ICTを共有化:日本経済新聞 2019年9月27日付
スマート自治体都道府県補完モデルに関する調査研究調査研究:一般財団法人 地方自治研究機構
- 産業界の取り組み
- 産業界では滋賀銀行と関西みらい銀行が「滋賀県DX官民協創サロン」の運営に関わるほか、滋賀銀行は滋賀県町村会と自治体DXの推進に向けた「アドバイザー協定」を締結したようです。
当行は、10月27日(水)、滋賀県町村会(会長・豊郷町長 伊藤定勉)との間で「6町DX戦略会議アドバイザー協定書」を締結しました。本協定は、滋賀県町村会が設置する自治体デジタルトランスフォメーションに関する調査研究を行う「滋賀県町村会自治体DX戦略会議」において、当行がデジタルトランスフォメーションに関する情報提供や助言を行うことにより、各自治体におけるサービスの向上や業務の効率化、人材育成等につなげていくことを目的としています。滋賀銀行ニュースリリース
また、滋賀経済同友会は2021年3月26日付けの提言書「DXの本質について ~滋賀のグリーン経済を実現するために~ 」のなかでDXを
単にデジタル技術を導入し、業務効率化やコスト削減を図ることを目的とするだけでなく、新たな価値を創造すること滋賀経済同友会
と定義しています。
提言では行政に向けて「滋賀県独自のDX推進指標(仮称:滋賀DX推進指標)を設定すべしとし、DXに滋賀県独自のグリーン経済実現の観点を取り入れることを明記したところが特徴的と言えます。